あ~あ。
取り返しのつくこと、つかないことが未だに分からないみたい。
みんなはそういうのってどこで学んでくるの?
あの日、あの時、あの瞬間を取り戻せたら・・・なんて生易しいものじゃなく積み重ねだったわけで。
サイアクです。世界も。俺も。
先週末の話ですがー。
友人からDVDを借りて映画『リリイ・シュシュのすべて』(岩井俊二監督)を観ました。
『14歳』をキーワードに、中学生達が繰り広げるリアル。
インターネット、イジメ、万引き、援助交際、少年犯罪・・・。
こういうとセンセーショナルなキーワードばかりが目立ってしまいがちですが、この作品の凄いところはそういう表面的側面ではなく、主人公の心の機微を細部まで表現しているところにあると思います。
伝説の歌姫、リリイ・シュシュに惹かれる人々。
インターネットによるファンの繋がり。
そして※エーテル。
※・・・この映画では「感性の触媒」の意
その辺も見逃せないところです。
結果から言うと、
人によってかなり印象が分かれる作品だと思います。
「わけわかんない」
「この映画雰囲気が暗過ぎ、キモイ」
「どこがイイの?コレ。最悪じゃん。」
「結局何だったの?」
簡単に『主人公が軟弱過ぎ。キモイ』の一言で喝破してしまう人もいることでしょう。
多分、今まで生きてきた人生で王道を歩いてきた人・・・とまでは言わないまでも、挫折らしい挫折を味わってこなかった人、学生時代、友人とつるんで楽しく学生生活を謳歌してきた人からすると、この映画が訳が分からないかもしれません。
この作品の凄さが分かる・・・共感できる人とそうでない人の差は、今まで歩んできた人生、環境によるものだと思います。
だから、意味が分からなかった人に対して読解力不足であるとか思慮が浅いとか・・・そういうことは決して言っていないので、その辺は理解してくださいね。
僕がこの作品を観て感じたこと・・・
小さい頃からこの世界に感じていた違和感や所在無さは、決して僕だけが感じていたモノではなかったということ。
それを共有できる”誰か”がいる。ということ。
この作品そのものが、それを証明してくれる。
この世界は下らなくて、つまらなくて、意味がわからない。
自分は何故ここにいるのか。何のために生まれてきたのか。
周囲にいる奴等は(少なくとも僕にとっては)全く興味のない話題で何故バカみたいに笑っていられるのか。
小さい頃からそんなことばっかり考えていて、周囲から少し距離を置いてた。
まぁ単なる天邪鬼だっただけかもしれませんが。
『ビックリマンシール』や『ミニ四駆』が異常なまでに流行った時代があって、皆ハマッてたけど僕は全く手を出さなかった。
あんな薄っぺらいシールに一体何の価値があるのか。
模型の車を改造して速さを競って何になる? バカバカしい。
そんな事を口に出せば厄介なことになるのは分かりきっていたから絶対に言わなかったけどね。
中学時代、僕の中の違和感が膨張し続けて破裂しそうになった時に一度だけ親に聞いたことがある。
『この世界は嬉しいこと、楽しいことよりも、
ツライことや悲しいことの方が圧倒的に多いじゃない。
なのに人は何故生きてるのかな?』
親はサラリと言い放った。
『何言ってるの? 私は楽しいことの方が多かったわよ。』
ああダメだ。この人には僕の気持ちなんて分からない。
それ以来、こういう類の質問をするのは止めた。
主人公(市原隼人)はネットにこう書き込む。
『僕にとって、リリイだけが、リアル。』
この鬱蒼とした世界は作り物なんじゃないのか。
どうして・・・僕は僕のいる世界を変えられないのだろう。
こんなはずはない。
・・・だから、僕にとって、リリイだけが、リアル。
僕の生きている証。
主人公のクラスメートの女子、津田(蒼井優)も主人公と同じく出口の見えないトンネルの中に閉じ込められていた。
周囲には開き直って明るく振舞っていても、心と体の乖離にはついていけない。
ある日、川辺で楽しそうにカイト(凧)を飛ばす集団を眺め、彼女自身も集団に混じってカイトを飛ばす。
自分もカイトのように飛んでいけたらいいのに。
そうすれば今の世界から抜け出せるのに・・・
彼女はふとつぶやく。
『カイトになりたい。』
『空、飛びたい。』
『死のうと思いました。
何度も、何度も』
『でも死に切れなかった。』
『堕ちる!堕ちる!堕ちる!
永遠のループを。』
『だれか!
僕を助けて!
ここから連れ出してくれ!』
投稿者:フィリア
人は空を飛ぶことは出来ない。
でも、今のままじゃ何も変わらない。
もうウンザリなんだ!!
だから僕が変えてやる・・・いや、変えるしかない!・・・世界を。
簡単に言うとそういうお話です。
分別のある大人からすると、昨今の少年犯罪(教室に爆弾を投げ入れる・・・同級生を刃物で刺す等)は不可解で仕方がないのかもしれません。。
そして時として加害者を化け物を見るかのように扱います。
でも、僕は彼等の気持ちが少しだけ分かる。
この作品を観れば、貴方にもそういう気持ちが少しだけ分かるかもしれません。
物語全編を通して流れるドビュッシーのピアノの旋律は美しくも残酷です。
僕のように、少し病んでる人にはオススメの作品です(^_^;)
少なくとも僕は”凄い作品”だと思いました。
『今まで生きてきて、楽しいことよりもツライことの方が圧倒的に多かったし、これからもそうだと思う。』
この考えは今でも変わっていません。
楽しげに日記を書いているけど、日々傷ついていることを明るい文章のオブラートに包んで隠しているだけなのさ。
ココで愚痴りまくっても見ている人が嫌になるだけだし。
皆さんはどうなんですかね。 生きていて楽しいですか?
僕の場合、自分の親の扶養義務以外には自分の存在価値がほとんど見出せていません。
そうそう、主演の市原隼人君ですがー。
当時13歳?若い若い! それにしても彼、売れましたね~。ファッション雑誌のモデルやらドラマやら出演しまくりみたいですね。